北方民族が極寒でも生き残れた理由

ファッション

寒冷地の洋服を研究しています。

デザイナーという仕事柄、寒冷地の洋服を常に研究しています。今までは特に「アイヌ民族」が冬場どの様にして凌いでいたか?にフォーカスを当てていたのですが、

(未解決案件。引き続き調査中。詳しくは下記↓)
”アイヌの人達が冬場でも寒くなかった理由”

調べていくとアイヌだけではない、「樺太アイヌや北方民族」などもっと北に住む民族がいるという事に気づきました。本日はその辺を調査します。

網走・北方民族博物館にGO

友人にそんな君にいい所あるよ!と紹介して頂いた「北海道立 北方民族博物館」なにやら面白そうです。

筆者の住む札幌からは車で約5時間の網走なんですが、、迷わず突撃します。

かなり良い展示が期待できる面構え。

毛皮、毛皮、とにかく毛皮

北方民族と言ってもその分布は多岐にわたります。

アメリカ大陸の有名な北方民族は?

アメリカ大陸にも北方民族は分布しています。

・イヌイット

・エスキモー

・北西海岸インディアン

あたりは聞いた事あるかもしれません。どの民族にせよ、北方民族はとにかく毛皮でした。昔は化学繊維など存在しないので入手できる唯一の防寒素材が「毛皮」でした。

毛皮の種類も色々あるのですが、「トナカイの毛皮」がもっともよく用いられました。

エスキモーの服
サハリンのウイルタ族の服
フィンランド サミ族の靴

でも、ダウンの方が暖かいんでしょ?

と、ここへ来るまで思っていました。南極観測隊とかパンパンのダウン上下で来てるの映画で見たし、、冬のTHE NORTH FACEの売り場ってダウン祭りだし。ですが、そうとも言えない研究結果出ています。

毛皮は透湿性がダウンに比べて非常に高く、体を暖かく快適に保ってくれる

【-10℃以下】 
ダウン=内部が結露し保温性が低下する。
毛皮=汗が外に放出され乾いた状態を保つ事ができる。

【-20℃以下】  
毛皮=ダウン入り衣類に比べて3倍の透湿性。

確かに冬場の透湿性の悪さは冷えにつながることは体感しているので良くわかります。展示していた古い白黒の動画ではエスキモーの親子が冬に裸のまま毛皮の布団にくるまって寝ています。

そのぐらい毛皮は非常に暖かいと言う事が理解できました。

この毛皮の衣類で防備し、寒さを凌いでいたのですね。ちょっと今度の冬、世の中の流れに反して毛皮試してみます。でもトナカイの毛皮の服って入手出来るのでしょうか?

そして家の作りが違う。

服はもちろん重要ですが、寒さを凌ぐのには住居が重要です。北方民族は生業(生きていくための仕事)によって季節に合わせて家を変えていた様です。

大きく分けて3つのタイプ

冬の間のベースキャンプ:竪穴住居(地面を掘って地下トンネルを作るタイプ)

・夏の間の狩猟時期:テント

・太平洋沿岸の漁労民:高床式住居

地面を掘って寒さを凌ぐ竪穴(たてあな)住居

確かに地面を掘れば風の影響も少なそうです。窓や出入り口も極力小さく作った様です。そうなると家の中は暗そうですね。冬場なんか真っ暗だったんじゃないでしょうか?

結論

毛皮と家の工夫できびしい環境をしのいだ。

北方民族はさまざまな技術を開発し寒さに適応した文化を作り上げてきました。

北緯40〜45以北が長い事人類の寒冷地適応の壁で、これを乗り越えたのが7万年前とされています。

7万年前に毛皮を最初に着ようと思った人ってきっと「あの寒い所で生きている動物の真似したら寒く無くなるんじゃないか?」と思ったと言う事ですよね。きっと。それで生きるために毛皮を剥いで、服にして着用したら、あら、暖かい。

これは良いと広まって、「これ着てたら寒くないからこの地でも生活できるぞ」と。人間てすごいですね。ファッションじゃない、生きるための動物の真似をする毛皮服。擬態化。

人間も擬態化しながら進化しています。

北方民族博物館にはトナカイの他にヘラジカ、ホッキョクギツネ、アザラシ、クロテン、アメリカビーバーから狼の毛皮までありました。大型の毛の生えている動物はのきなみ服にしたのでしょう。

でも熊の毛皮はなかったです。多くの民族で熊は神聖なものだったとの記述がありました。おそらくその影響からでしょうね。

ちなみにヴィンテージ古着で時々あるグリズリージャケット通称「熊ジャン」は熊の毛ではなく、羊の毛(ムートン)です。
オオカミくん

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