寒冷地 腸でできた服が存在した

アイヌ

シャケ革の服は確認済み

以前シャケ革の服と靴が存在していたのは当ブログでも確認済みなんですが、

↓参照はこちら 
寒冷地 シャケ革の服が存在した。

寒冷地 シャケ革靴が冬の定番にならなかった理由


今回また見つけてしまいました。。「動物の腸でできた服」を。

動物の毛皮や革でできた衣服は数多く知っていますが、腸でできた服はさすがに初めての発見です。今回は腸でできた服を考察します。

網走・北方民族博物館にて

「北海道立 北方民族博物館」日本で唯一の北方民族の文化を専門に紹介する博物館で有名です。筆者の住む札幌からは車で約5時間の網走なんですが、、迷わず突撃します。

かなり良い展示が期待できる面構え。

これが腸でできた服だっ!!

カナダ:イヌイト
アラスカ:エスキモーが主に使用

なんと、パーカーです。年代は1870〜1880年ごろのもの。今から約150年以上前にパーカーを着ていたという事にも驚きです。

パーカーの形状ってそもそもミリタリーウェアからの派生だと思っていたのですが、そういえばエスキモーやイヌイトの民族衣装でパーカー形状ってよくみられる特徴でした。

もしかして寒さをしのぐフードは、この辺がルーツなのかも知れません。

フードかぶってストリート気取ってる場合じゃないです。

その素材について

素材はアザラシやセイウチをはじめ、クジラやオヒョウなどの海獣や魚の腸を繋ぎ合わせて製作しています。腸なので製作時、初期段階はかなり臭いがキツそうですね。

オヒョウはかなり大きくなる個体もいます。形状や生態はヒラメに似ているものの1mを超える大型のカレイの仲間

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

縫製について

実際手に取る事が出来なかったので縫い目を詳しく見れてはいませんが水が入らない様に縫い合わせている様です。

展示の詳説明では「縫い代を多く取る・ロックミシンをかけた状態と似せた縫い方」をした様ですが、それだけだと縫い目から水は侵入します。

もしかすると腸製という事で製作の段階は少し素材に粘度があって硬く縫製する事で圧がかかって縫い目が接着するのかもしれません。今で言う「シームテープ」?考えすぎでしょうか。

この辺ももう少し深掘りしたいところですね。

どんな時に着ていた?

アイヌ民族のシャケ革の服は主に祭礼の際に着用していたのではないか?と推測しているのですが、こちらの「腸製パーカー」は祭礼用では無く、カヤックなど舟に乗るときの必需品で主に漁をする際に着用していました。

上映されていた古い動画でエスキモーがカヤックに乗りながら水中を1回転して魚をとる動画が流されていましたが、この「腸製パーカー」でどの位水の侵入を防げたのか?は謎です。

なんかビチャビチャになりそうですけど、、そのあとにヌルヌルになりそうですね。

結論

腸の服は北方民族のデイリーな定番服だった。

ゴアテックスやラッシュガード(主にサーフィンの時などに着用する)のない時代に腸製の服は貴重な防水の服として重宝されていました。

もちろん防寒用としては暖かくなさそうです。

恐らく冬場に体が濡れることは生死に関わる問題だったので出来るだけ水に濡れない様に考えていたという事かと推測しています。この辺ももう少し調査が必要ですね。

北方民族が極寒でも生き残れた理由

↑こちらの結論でも言っていますが、腸製の服を最初に着ようと思った人ってきっと

「寒い水の中でも生きている海獣や魚の体内にある腸は丈夫で、それを着たら水に強いんじゃないか?」

と思ったと言う事ですよね。それで生きるために腸を接いで、服にして着用したら、あら、濡れにくい、「これ着てたら冬場でも漁ができて食糧不安が少なくできるぞ」と。

要するに生きるために海獣や魚の真似をする腸製服。擬態化。人間も擬態化しながら進化しています。

服を縫製して準備するのは主に女性の仕事だった様です。当然すべて手縫の縫製。

気の遠くなるような作業です。腸製の服、ぜひ手に取ってじっくり見たいですが流通してないですよね。

北海道大学にアイヌ民族研究チームがあるようなので今度突撃してみようと思います。

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