郷土玩具から感じる本州アイヌの痕跡 山形編

アイヌ

山形を訪れました。

山形県を訪れました。ご当地の郷土玩具「お鷹ぽっぽ」をチェックしていたら、、

筆者
筆者

どうやら”ぽっぽ”の語源がアイヌ語らしい、、?

なぜにアイヌ語が語源なのか?ここ、北海道ではなく、山形なんですけど、、?

お鷹ぽっぽとは?

「お鷹ぽっぽ」に代表される笹野一刀彫は、山形県米沢市笹野地区に伝わる木彫玩具です。
お鷹ぽっぽの“ぽっぽ”とは、アイヌ語で“玩具”という意味。

米沢藩主 上杉鷹山公が、農民の冬期の副業として工芸品の製作を奨励したことにはじまり、
魔除けや“禄高を増す”縁起ものとして、親しまれてきました。


出典:東北STANDARD
筆者
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実際に江戸時代にはこれをおもちゃとして、車輪をつけたり背負ったりして子供が遊んでたようです。

お鷹ぽっぽとアイヌの繋がりについて調べてみると「元々、本州にもアイヌは住んでいて、文化に影響を与えていた」という事が分かりました。

東京から北海道に移住しアイヌや北方民族の服装史を探る筆者が、「お鷹ぽっぽとアイヌの繋がり」のなぜ?を深掘りする今回は、、

・お鷹ぽっぽをご存知の方

・郷土玩具好きの方から

・身近に語源の分からない地名があるな〜と思っている方まで

地名考察の参考に、はたまた地元の民藝を見直す機会にでもなれば幸いです。

ぽっぽの語源?

筆者
筆者

お鷹ぽっぽの”ぽっぽ”、、尾っぽが語源かと思ってたら違うようです。

お鷹ぽっぽの特徴でもある後ろの尾っぽ部分。その尾っぽの造形が美しいのですが、そこが語源ではなく、、

アイヌ語で「玩具」という意味

と広く伝承されています。やはりルーツがアイヌという事でしょうか?

そんなお鷹ぽっぽは1本の材料から、「サルキリ」と言われる1刀の刃物だけで手作業で彫り上げて、色付けしていきます。

筆者
筆者

1体づつ手作りで、ちょっと玩具の域を超えちゃっています、、民藝です。完全に。

― それにしても何故、一つの刃物だけでの木彫がこの地区にはじまったのでしょうか?

上杉鷹山公は「為せば成る、為さねば成らぬ何事も」と説いています。そして一つの刃物で物を彫るように指導したという言い伝えがあります。この考え方が長く一刀彫が続いてきた理由かなと思っています。

出典:東北STANDARD

ん〜意外と一刀彫は「この道具だけでヤレるっ!」みたいな、精神論的なところが入り口だったのでしょうかね?

イナウにどことなく似てる

お鷹ぽっぽをじっくり眺めているとアイヌの祭具「イナウ」と共通した点を感じる事ができます。

アイヌの人たちが先祖との間を取り持つ祭具「イナウ」


お鷹ぽっぽのしっぽ、羽の部分↓

出典:東北STANDARD
筆者
筆者

どちらも1本の木から削り出して繊細な造形になっています。これもルーツがアイヌの影響か?

この地にアイヌは存在したのか?

ネットで色々調べてても、さらっとしかその理由に触れておらず、

「山形にアイヌがいたのかよく分かりません」

筆者
筆者

そんなバカな!?ぐぬぬ、、こうなったら公的機関に突撃だぁ〜

北海道博物館へ、、

幸い筆者の居住する札幌市には、北海道博物館内にアイヌの文献を強烈に集めた

「アイヌ民族文化研究センター」がございます。

北海道博物館内の図書館にGO!


こちらで偉大な先輩たちがまとめた資料を探すことにしました。

筆者
筆者

今も残るアイヌの居住の痕跡としてはアイヌ語源の地名かな??

と推測し、アイヌ語地名研究の第一人者である故・山田秀三氏の旧蔵資料を調べていると、、

なんと南は福島まで、アイヌ語源の地名がある!

もう、なんか考古学みたいになってきましたが、、(中の資料は非公開出せませんでした。

学芸員の人に聞いてみると、、

筆者
筆者

アイヌ民族の居住地の南端って福島くらいですか?このアイヌ語源地名の分布図を見ると?

学芸員の方
学芸員の方

いえ、アイヌ語源の地名=居住していたとは一概に言えませんね。。

筆者
筆者

な、なぬ〜!?

学芸員の方
学芸員の方

出土品や当時の歴史文献など総合的な分析が⚪︎×△◻︎〜。。

うむむ、、すぐに裏付けは取れませんでしたが、東北地方に居住していたことに間違いはないようです。

結論

「お鷹ぽっぽ」から山形、東北地方にもアイヌ民族の痕跡を感じた。

笹野一刀彫が発祥したのが806年。アイヌ民族が東北地方で広く暮らしていたと言われる時期と重なってはいます。

当初は神に備える縁起物として生まれたお鷹ぽっぽ。

目がついていることで「厄除け」、羽に木々が描かれていることで「五穀豊穣」などの願いも込められていたぽっぽは、いつからか子どもの玩具になりました。

そして現代ではインテリア、置物的な要素も強くなっています。

その経緯や、本当にアイヌが始めたか?までは辿り着けませんでしたが確実にアイヌの影響を感じました。

筆者
筆者

もしかしてアイヌって東北の民藝に多大な影響を与えているのか?

今後も継続して調査していきます。

初めて博物館の蔵書というものに突撃したら興味深い資料(難しいけど)が多数発見しました。

学芸員の方も丁寧に対応頂き、

「今度来る時は事前連絡してくれれば資料用意しとく」

とまで言って頂いたので、今までのアイヌに関する自分的な謎を解決できるかもしれない、、ワクワクしますね。

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