刑務所で商品を作る方法

デザインとアート

刑務所で商品って作れる?

仕事柄、常に工場や生産背景の事を考えています。近年の日本国内生産はコストの上昇により、大手アパレル商品のほとんどは中国をはじめ、第三国生産が常識です

そんな中でも地域に貢献したいという思いと、でもコストがなぁ〜という懸念とを考えていた時にふと卓上の「ニポポ人形」に目が止まりました。あれ、これ網走刑務所で作ってるよね?

刑務所ならコストも抑えられつつ地域にも貢献できて良いのでは?と思い、当たってみる事にしました。

ニポポ

まずは法務局で調べる

刑務所内の作業を「刑務作業」というのですが刑務所を管轄しているのが法務省なので調べてみました。

出典 法務局刑務作業の募集状況より

作りたいのが木彫りの人形とアパレル製品のため北海道内のそれらを行なっていそうな6ヶ所の刑務所を(札幌・旭川・釧路・網走・帯広・北見)ピックアップし、順番に電話連絡していきます。

作業製品展示場に行き発想を膨らます

今回調べてて分かったのですが、刑務所の外には作業製品展示場という刑務作業で作られた製品を一般に販売しているショップがありました。

まずはそこに行ってみて出来そうな商品のイメージを膨らます事にしました。

札幌刑務所の外にありました。

そのまま使えるものや、もしかしたらイケてるものもあるかなーと期待していったのですが、、

一旦結論
全然イケてない。おばあちゃんの家にありそうなものしかない。

刑罰の一環という側面があるのでしょうがないとは思うのですが、あまり売る気がない。積み木や木箱なんかはまだ利用できそうでした。

もう少し気を使えば良くなりそうなんですけどね、、

函館少年刑務所の製品は土産物みたいになっていて少し売る気が感じられました

ですがやはり自分でオーダーするしかないという事が分かりました。

本命 網走刑務所

木工で手彫りのオリジナルの人形を作成したい。ニポポみたいなやつ。できれば網走刑務所で。
網走刑務所の木工担当に連絡しました。

回答は「新規の依頼は受けられない」との事。

理由としては

・木工彫刻の彫り手が減っている。

・受刑者自体が減っていて、現在の仕事だけで手一杯(ニポポでしょう。)

受刑者が減っているのは犯罪自体が減っていっているので喜ばしいのですが、あえなく撃沈です。

札幌、旭川、北見、帯広、釧路

これらの刑務所では木工といっても木箱やスノコ、家具のパーツなどを製作していて彫刻はそもそも無理。

以前は彫刻もやっていたが時代の流れや怪我の危険もあるとの事で彫刻刀自体を捨てた(!!)というお話もお聞きしました。

ただ1ヶ所、旭川刑務所だけはアパレルを少しやった事があるとの事でお話しを聞いていただけました。まだ可能かどうかは分からないですが現在交渉中です。

※後述 新型コロナを理由にお断りされました。

結論

時間とクオリティにこだわらなければ作れるかも。

なにせ刑務所なものですから、納期や完璧なクオリティはもとよりキープできないと思った方がいいです。

そういう類の商品はもちろん難しいのですが、今回刑務官の方達と話してて分かったことは刑務商品を発注している民間企業は主に「お土産物屋かワークショップ、家具屋さん」が多く、その他は刑務所内で着る作業着や、靴などを自前で作っているという事でした。

また、国の機関であるため個人事業主との取引は基本行っておらず、法人としか取引しないとの事も言われました。最初のハードルは少し高いですが実現できれば、、

・おそらく国内最安値の工賃

・小ロット生産(聞いていたらロットという考え方が存在しない・10着でも作れる)


という今の日本でも海外でも難しい課題を解決する1つの方法になるかもしれません。
引き続き取り組んでいきます。

後述

事業をやってる以上、納期と品質は担保しないといけないのですがその辺のハードルがやればやるほど高いです。自分の作る「モノ」に拘らないのは難しいなぁ、、

アメリカはこの辺の取り組みが進んでいて、「プリズンブルース」というアパレルブランドが1989年受刑者達に技術と更生の機会を与える為、州の更生局が刑務所内で設立して一般市場でも販売しています。

微力ながら自分でも何かできないかを考える日々です。

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