アイヌの人たちが履いていたシャケの革靴
寒冷地ファッションの解決策のヒントを求め、アイヌの人たちが昔だと-30℃にもなる北海道の冬をどう生き抜いて来たのか?
下記参照↓
アイヌの人達が冬場でも寒くなかった理由
を調べる中で出会った「シャケ革の靴」この靴の実物を求め、色々探し回った所、発見しました。今回はこの靴について考察してみます。
近場にあった
前回は白老の「ウポポイ」に突撃したのですが今回は札幌市のはずれにある「札幌市アイヌ文化交流センター」にお邪魔しました。
こちらの展示室入り口にいきなり、、
ありました!初めて現物見ました。感激です。なんか見た感じ、蛇革の靴と似てますね。
特徴をまとめてみる
・シャケ革の靴=正式名称 チェプケレ/Chepker
・大人用1足分を作るのに川上りした後の皮が厚く、鱗が剥がれていないオス4匹分必要
・背びれ部分を靴底にすることで滑り止めの役割になっている。
・冬に使用。このままだと寒いので中に干草をひいて履く。
・しばらく使うと穴が開くのでひと冬で2〜3足使用する。
・使用後は火で温めないとダメ。靴が凍ると次履く時に破れる。
・シャケの他にイトウ・マス・アザラシ素材も存在する。
・どうやら防水的な意味合いもあったらしい。
すごく作るの手間だと思うのですがその割に、耐久性が無く、ひと冬にシャケのオス10匹分くらい使用する靴なんですね。
観察するとなるほど、底の部分は確かに目の荒い鱗になっています。
ツンツンしてみる
展示室以外にラフに置いてある所を発見したのでちょっとだけツンツンしてみました。
硬い。すごく硬いです。プラスチックみたいです。こんな硬くてどうやって履いたんだろ。あ、サイズがすごく大きそうなのでオーバーブーツみたいに履いたんですねきっと。
(後述:火で温めて柔らかくしてから履いた様です。)
臭ってみる
もうひとつ気になっていたのが「臭い」です。魚特有の生臭さ、干物のような臭いはするのか?、、、
無臭です。全く匂いません。しかし、この現物が作られたのはきっとかなり前の事なので、出来立てほやほやの時は臭いそうですね。
出来立ては臭いのか??
そして本当はかじってみたかったのですが、さすがにやめておきました。破れて履き終わった後に、火で炙って皮ごと食べちゃったらすごいと思っていたのですが、学芸員の方に聞いても「それは分かりません。」とのことでした。
もしかして食べてないですよね?この辺は引き続き調査が必要ですね。
結論
シャケ革の靴は作るの大変な割に、すぐ破れるし、寒いしで後世には残らなかった。
シャケ革の靴は物資が何も無い時代のアイヌの人の知恵の靴です。確かにシャケは普段水の中にいるので革自体は「防水」と考えるのが普通です。
現代のように化学繊維がない時代にどうにか冬場でも快適に過ごそうと考えられた知恵の靴だと思いました。
ただ、作るの大変な割に、すぐ破れるし、シャケの頭数も必要だし、きっと臭いし、化学の発展と共になくなっていった文化だと感じました。
ただ、全て天然のもので作っているため「全くゴミが出ない」です。アイヌの人たちのこの辺の感覚はものすごく先進的だったと言えます。
他の展示を見ていたら物凄いものを発見してしましました。「シャケ革の服」です。これはヤバいです。ライダースなんか着てる場合じゃありません。時代はシャケ革です。 次は「シャケ革の服」にフォーカスを当ててみます。
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