ミルクガラス・ペンダントランプ
ミルクガラス・ペンダントランプとは透明のガラスにミルクを溶かしこんだような、淡い乳白色をしたガラスのランプ(ペンダント)の事です。
様々な形状がありますが、総じて「白濁していて電球は40〜60W位の電球色」であることが多いです。
その「ミルクガラス・ペンダントランプ」を札幌の街中でどうもよく見かける気がする事に気づきましたのでちょっと調べてみることにしました。
代表的なミルクガラス製品

といえばやはりFire-Kingですね。アメリカで大流行したテーブルウェアシリーズはいまだにそのファンも多く、コレクターズアイテムとして有名です。
アメリカでは1940~70年代後半にかけて、多いときでは年間100万個ものミルクガラス・マグが生産されていました。そのANCHOR HOCKING社がFire-Kingブランドを実質終了させたのが1977年です。
「ミルクガラス・ペンダントランプ」の大まかな知識として「昭和初期に流行した照明器具のスタイル」くらいしか知らないのですが、このFire-Kingの流行が日本のものづくりにも影響を与えていた可能性が大きいですね。
建物の歴史を調べる
「ミルクガラス・ペンダントランプ」の設置してある建物が総じて「古いビル」が多い事に気がつきました。そこで建物の建築年を調べてみました。
旧藪商事会社ビル(三誠ビル)/札幌景観資産


札幌グランドホテル


どちらも1920〜30年代に建築、、Fire-Kingの流行よりも早い。よく分からなくなくなってきました。
よく分からないのでバラしてみる
そこで行きつけのBARで使ってた年代物の「ミルクガラス・ペンダントランプ」を無理言って譲って頂き、バラしてみました。
BARのマスターも「誰かから譲ってもらった年代もの」と言っていたので1920〜30年代のものだったら古いビルとの辻褄が合います。


バラしてみたら衝撃の事実が

バラしてみた所、「87.04オーヤマ照明株式会社」のシールが貼ってあります。
オーヤマ照明株式会社(現ODELIC)は東京の照明会社で1996年01月に商号をオーデリック(株)に変更しています。ということはこの表記は間違いなく1987年の4月に作成されたランプであることが記載されています。(それでも35年前ですが)思ったより新しい、、ということは
札幌で良く見るミルクガラス・ペンダントランプはおそらく当時物で無く、
・建物の景観に合わせて1980年代くらいに昭和初期をイメージしリプロした製品
・当時の建物のイメージを活かそうと利用している可能性が高い
そりゃそうか、流石に100年前のペンダントランプ使ってないか。夢が壊れました。
結論
景観重要建造物の建物はランプなどの見え方にもこだわっている。それをなんとなく意識して民間企業も親和性を図ろうと同じ様な見せ方をしている。
札幌市には歴史や文化など ・地域の景観を特徴付けている建造物 ・市民や観光客に親しまれている建造物 ・景観形成上重要な価値のある建造物 については、所有者の意見を聴いたうえで、指定し、地域の良好な景観の形成を推進しています。 札幌市HPより
で、これに登録されるとどうなるかというと、修繕工事に要する経費の2分の1以内のお金が助成されるという事で、「維持費の面で都合が良い」事がわかりました。
景観重要建造物の保有者・・・細かいランプなどの見え方にも拘る(助成金のため)
古い建造物の保有者、賃借者・・・大体が商業施設になっているので街の景観に合わせようとして細かいランプなどの見え方にも拘る(集客のため)
要するに市からの助成金の援助を受けたいために、こだわってこうなっているという事が分かりました。

量産品のため、あまりヴィンテージ家具としての価値は高くありませんが「ミルクガラス・ペンダントランプ」はとても魅力的なデザインのランプです。 商売やお金を抜きにして、好きな形なので頂いたものを大事にしていこうと思います。

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