寒冷地 シャケ革の服が存在した。

アイヌ

見つけてしまいました。シャケ革の服を。

シャケ革の靴を探す過程でついに見つけてしまいました。シャケ革の服を。ヤバすぎます。見た目もヤバいし、使用している頭数もヤバそうです。今日はシャケ革の服を深掘りしてみます。

※ちなみに呼び方のシャケ/サケはどっちも正解の様です。


 
札幌市アイヌ文化交流センターで発見!

前回のシャケ革の靴編はこちらを参照↓
寒冷地 シャケ革靴が冬の定番にならなかった理由

その見た目、ボロボロ

まずご覧ください。このオーラ。この服着てる人に街ですれ違ったらかなりギョッとします。

ぎょぎょぎょ(魚)

その名はチェプウル

シャケ革の服=正式名称 チェプウル/Cep-urということが分かりました。

まとめてみます。


大人用1足分を作るのに60〜70匹分必要

・ギザギザした背びれ部分は切り取り、代わりに別の魚の皮を縫い付けた

・樺太アイヌ(サハリン)に住むアイヌの人が着ていた。

・シャケの他にイトウ・マス素材も存在する。

・どうやらシャケ革のカバンも存在したらしい。

・衿、背中、袖、裾は木綿を使用している。

・恐らく靴と同じ様に防水の意味合いもあった?

そしてこの着物の記録はすごく少ないらしい事が分かりました。

ちょっと疑問点が?

・ギザギザした背びれ部分は切り取り、代わりに別の魚の皮を縫い付けた?

これはおそらく背びれ部分が硬化した際に割れやすい&凹凸があって使いずらいのでしょうね。パッチワークをしてる事によって、よりボロボロに見えます。

そもそも継ぎ接ぎで作らなくてはならない(シャケのサイズが服よりすごく小さいため)のに背びれ部分をパッチワークする事でよりボロボロに見えるんですね。

でもこれはこれでなんか模様にも見えます。もしや細胞を意識している、、?それは考えすぎですかね?

doodlartdotcomによるPixabayからの画像

・衿、背中、袖、裾は木綿を使用している

なるほど、これらの部分に綿を用いたのは「シャケ革の端がボロボロなのをまとめてキレイに処理する為」ですね。よく分かります。

そして最大の疑問点。・大人用1足分を作るのに60〜70匹分必要

これが、全然分かりません。制作に手間と漁獲量がかかり過ぎると思います。

シャケ革の靴はすぐ穴が開き、ひと冬で2〜3足履き替えたと記述がありましたが、このシャケ革の服は日常着でなく、祭礼などに使うスペシャルなのかも知れませんね。

結論

シャケ革の服はスペシャルな服だった。

この服シャケ使いすぎじゃないでしょうか?もちろん身は食しているのでしょうが、コタン(アイヌの人の村)の中で何人がこのシャケ革服を持っていたのか?

防寒用としてもそんなに暖かくなさそうだし、みんなが防水性を求めて着用していたとは考えにくい。。

手間と使用する漁獲量を考えるとある程度地位の高い方のスペシャルな服だったのではないか?と考えられます。この辺ももう少し調査が必要ですね。

トグルボタンが削り出した木です。
細部をじっくりみてみるとやはり全体が手縫いで縫われています。刺繍かがりも手縫い。

ダッフルの前合わせのような「トグルボタン」に使用してある紐はおそらく自前で撚ったもの、トグルボタン自体は木を自らで削り出していると思われます。シャケを捕まえ、革を剥ぐ所から始まる、正に手作業。

現代でいうとオートクチュールよりも確実に手間が掛かっています。

現代の価格で正確に再現しようと思ったら、1着100万円でも作れないのではないでしょうか?まさにパリコレならぬサハコレです。(サハリン・コレクション)かなり強烈ですね。

コメント

タイトルとURLをコピーしました