木彫りを突き詰めると原始的なものになる話

デザインとアート

木彫りに興味あり。

木彫りってなんか古臭いイメージであまり興味がなかったのですが、「ニポポ」をきっかけに木彫り文化に興味あり。

その筋に詳しい人から行った方が良いとお薦めされた白老にある「創作木彫 荒井工芸館」を訪ねました。

事前に電話して訪ねたら

その昔、原宿にあったデザインフェスタの事務局みたいな個性強めの外観

札幌から行って閉まっていたら嫌なので行く前に電話して訪ねたところ冬期の開店時間はAM10:00〜PM15:00との事。

流石の「どさんこタイム」的な短さですね。事前に電話していたので熊の彫り工程の説明をして頂きました。

荒井工芸館で製作する木彫りはすべて手作業で、工作機械などは一切使わず彫り上げるとの事。先日筆者もトライしたのでどのくらい大変な事かがよく分かります。

またこの<7.修理>で驚いたのですが、乾燥した後、木なので割れて来た部分にもう一度木をぶち込んで(失礼)成形し直すとの事。これはかなりの手間ですね。

これらのことからも土産物を作っているのでは無く、「手作りの工芸品を作っているのだ」という自負を感じます。

木を輪切りにしてから芯を避けて使用する為、大きい製作物になるとかなりの巨木が必要との事。(芯の部分は割れやすいそうです)しかしこんな輪切りの巨木、ホームセンターに売ってなかったですよ。

アイヌの祭礼用の頭飾りの熊も木彫り

中を見せて頂こうとしたら

さて、ではそろそろ製作したものを見せて頂こうとしたら、、

ドドン

なんじゃこりゃ!?フクロウと鷹?下の宇宙人みたいのなんでしょう?いやそんな野暮な事聞きません。ちゃんと「珍しい木彫いろいろ」と書いてあります。

いや、珍しいですけど。なんだか原始的なものを感じます。こんな巨大な木彫り、どのくらい製作日数がかかるのか想像もつきません。

中は圧倒的な木彫りの量

あるわあるわ、北海道の木彫りのベーシックなスタイルはほぼ網羅されていると言って良いでしょう。

木彫りの熊を筆頭に、熊マスク、夫婦アイヌ、壁掛けからアイヌの祭礼に使う木のナイフ、スプーンなどありとあらゆるものがあります。

出典 荒井工芸館HPより

その中でふと、気づきました。なんか結構プリミティブ(原始的)なアプローチしてる作品があるなーと。

元々ポリネシアの木彫りのティキ文化とかアフリカンアートなんかにも興味があるのですが、その辺のアプローチと近いものを感じます。

お店の方にお聞きしたら彫刻作家の荒井さんは御年81歳。海外渡航経験は一度も無く、木彫りだけを独学でし続けてきた方との事。

著者購入した木彫りのキーホルダー。完全にアフリカン。北海道の木彫りだとは誰も分かりません。それで良いのです。

日本民藝館では世界中の民藝展が開催。

東京に住んでいた時に、家が近所だったのもあり良く日本民藝館に出入りしておりました。

そこでは世界中の民藝を紹介する企画展をやっていて、今みたいにインターネットも無い時代のもので、時代も、文化も、距離も全く違う場所から同じ様なアプローチの作品がよく発見される事を学びました。


出典 日本民藝館より

結論

木彫りを突き詰めていくと偶像に行き着く

熊とか、アイヌ人形とか、土産になる様なものとか、吉幾三の家に飾ってあるのと同じ物とか(そういう巨大なアイヌ人形の木彫りがあった)観光バスがわんさか来たとか、あそこのアイヌの一番偉い人知ってるとか。

そういう事をとっぱらって行くと、作り手は結論プリミティブになって、精霊とか、神様とか、子供とか、裸婦とか、要は「偶像」になって行く事が良く分かりました。

人が彫ってるから最後は精神世界に入って行くよなぁ、、と妙に納得してしまいました。

今日は敬愛する柳宗理氏の一言。
原始的なものを作っている時ってこういう感覚なのかもしれませんね。まだこの境地にまで全く辿り着いてません。

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