漫画ゴールデンカムイが完結しました。
2022年4/28日(木)アイヌ民族漫画の金字塔、そして当時の生活様式を知れるバイブルともいうべき漫画、「ゴールデンカムイ」が完結しました。
無事最後までの完結を祝いつつ、漫画中の重要な場面で何度も登場した網走刑務所の歴史に触れるべくお邪魔してみます。
いざ、網走刑務所へ
札幌から約5時間。日本最北端の刑務所で、映画「網走番外地」でもお馴染みの網走刑務所に突撃しました。
注意点
・網走刑務所と博物館網走監獄は別物。
・網走刑務所は現在も使用されている現役の施設。網走駅にほど近い
・博物館 網走監獄は天都山のふもとに移築保存されている。
筆者は間違って現役の網走刑務所の周りをぐるぐるしてました。これは不審車両なので要注意です。
公開している歴史的建物は「博物館 網走監獄」です。
北海道に最初に入ってきたのは屯田兵ではない
なんとなく「屯田兵が最初に北海道を開拓した」という歴史で習ったおぼろげな知識で生きてきましたが、間違っていました。未開の地であった北海道の開拓は
・第1段階:監獄開拓
・第2段階:屯田兵開拓
・第3段階:移住民開拓
の順で入植しています。特に第1段階の監獄開拓は「長期重罪囚」を使ったハードな苦役で、道なき所に道を拓き、家なきところに家を建て、原生林を農耕地として切り拓くなどその後の屯田兵&移住民開拓の基礎的条件の整備を国の指導でさせられています。
「元々悪い奴らだから、すごくハードな作業をやらせて多少死んでも監獄の維持コストが下がるだけだし全く問題ないよね!? しかもほとんどお金もかからないし。」
という「囚人苦役論」からこのような苦役を担ったとの事。人権もへったくれも無いですね。
この辺が後の重罪人が北方へ送られる流れにつながっているのですね。
刑務所を建てるレンガも自分達で焼く
網走監獄には建物の近代化を図る為、その当時の先端の素材であった「レンガ」が要所に多用されているのですが、それらのレンガの材料になる「軟石」も裏山から自分達で掘り起こし、刑務所内のサイロでレンガを焼いて作り、建物の建設も囚人が行いました。
床や外壁、独房などもレンガ造りです。かなりのDIY精神です。いえ、苦役の一環です。
ずっとロシアの脅威がある
明治維新後の新政府にとってロシア帝国の南下政策に対する危機感は強く北海道の防備を固めるべく開拓を急ぐ必要があった為、全国で膨大な数になっていた「長期重罪囚」を開拓の先兵としたとの事。
政府にとっては一石二鳥という事ですね。下記は1869年の北海道国郡全図です。(分かりやすいように天地を逆に貼ってます)
この頃の日本政府はサハリンも、北方列島も日本という認識だったことがよく分かります。
昨今の報道で「北海道も元々ロシアのもの」というロシアの議員のコメント出てましたが、あれ意外と本気かもしれませんね。
この辺の領土争いは北方民族も巻き込んで昨日今日始まった問題ではありません。
この地図を見ていて日本人も危機感持たないといけないなと感じました。
結論
北海道を最初に開拓したのはまぎれもなく囚人だった。
一概に囚人と言っても気骨のある士族出身の軍事犯や政治犯が当初は多かったようです。ですが時代と共に凶悪犯や任侠(ヤクザ)、ばくろうが増えていったとの事でした。
ちなみに「ばくろう」とは農民が丹精込めて立派に育てた牛馬を他の農民に転売して利ざやを取る人、今で言う転売屋です。
北海道では交換することを「ばくる」という言い方をするのですが、おそらく語源はここから来てますね。(未確認)
網走監獄のお土産はゴールデンカムイ関連でコーナー展開していました。ファンの人たちが聖地としてたくさん訪れているようです。
そんな網走監獄を脱獄した男の実話を紹介します。ゴールデンカムイの脱獄王:白石のモデルは実在していました。↓
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